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アゲハチョウの幼虫・蛹・羽化を観察!種類や時期、捕まえ方や育て方も解説

アゲハチョウの幼虫・蛹・羽化を観察!種類や時期、捕まえ方や育て方も解説

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春や夏にヒラヒラと優雅に舞い、花の蜜をすうアゲハチョウ。アゲハチョウが、幼虫から蛹になり、羽化して美しい成虫の姿となるまでには、実に劇的な変化があります!ぜひ子どもと観察して、生命の神秘を体感してみませんか? アゲハチョウの種類や特徴、幼虫が食べる葉っぱや観察のポイントなどを、昆虫芸人の堀川ランプさんに教えてもらいました。チョウの幼虫の姿が苦手なママも、堀川ランプさんの愛らしいイラストなら安心して読めますよ!

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目次(index)

堀川ランプさん(監修プロフィール)堀川ランプ
昆虫大好き芸人。変形菌にも詳しい。日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程修了。理系の研究発表を模した白衣スタイルでおこなうフリップ芸が人気。Youtubeで「堀川ランプの昆虫列伝」を配信中。日本変形菌研究会会員。成虫の会メンバー。当記事のイラストはすべて堀川ランプさん本人のよるもの!
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1. アゲハチョウの観察、季節や期間は?

アゲハチョウが卵から孵化して成虫として寿命をむかえるまで

アゲハチョウは、黒と黄色のシマシマ模様が特徴的な大型のチョウの仲間で、街中でも見ることができる身近な昆虫のひとつです。地域によりますが、4月下旬ごろから、ひらひらと宙を舞うアゲハチョウの成虫を観察することができます。アゲハチョウが卵から孵化して成虫として寿命をむかえるまでは大体2ヶ月、そのうち成虫の期間は2週間~1ヶ月程度と実はとても短命です。

夏型は初夏~秋ごろまで数回世代交代

●春に交尾・産卵し、幼虫が誕生

春に羽化したアゲハチョウの成虫は、交尾をし、柑橘類の葉の裏に卵を産みます。卵は1週間ほどで孵化し、卵から生まれた幼虫はその柑橘類の葉を食べて育ちます。

●幼虫は4回脱皮

アゲハチョウをはじめとした昆虫は脱皮をしながら成長していきますが、幼虫の間の各成長段階を「〇齢幼虫」という言葉で表します。たとえば、生まれたばかりの幼虫は1齢幼虫、成長のために脱皮をするごとに2齢幼虫、3齢幼虫と呼び名が変わっていきます。アゲハチョウの場合、1齢幼虫から4回脱皮をした5齢幼虫までが幼虫の期間になります(環境や発育状態などによって、たまに6齢幼虫になる個体もいます)。

●5回目の脱皮で蛹へ

5齢幼虫は次の脱皮で蛹になるので、蛹になる前段階である5齢幼虫(場合によっては6齢幼虫)を「終齢幼虫」とよびます。
1~4齢幼虫までは白と黒の地味な模様ですが、終齢幼虫になると頭に目玉模様のついた緑色の姿へと見た目が大きく変わります。終齢幼虫は十分に成長すると、体を固定できる場所を見つけて蛹になります。蛹は10日~2週間ほどで羽化し、私達がよく知るアゲハチョウの姿になります。

●夏型と春型の違い

このように、アゲハチョウは卵→幼虫→蛹→成虫→産卵という世代交代を、春から秋にかけてだいたい2~5回行って命をつないでゆきます。秋までに成虫になったアゲハチョウは「夏型」、蛹のまま冬を越して春に羽化したアゲハチョウは「春型」と呼ばれます。餌である葉っぱが豊富な時期に生まれ育った夏型の方が体が大きく、翅の黒い部分が多い傾向があります。

夏休みの自由研究は7月の幼虫から観察

ちょうど夏休みに入る前の7月上旬から中旬ごろは、アゲハチョウの幼虫がたくさん見られる時期です。夏休みの自由研究として、アゲハチョウを観察するのもオススメです。

アゲハチョウの好物である柑橘類の木をよく観察してみてください。かじられた跡がある葉っぱがあれば、近くにアゲハチョウの幼虫がいる目印!周辺を探してみると、きっとアゲハチョウの幼虫を見つけられるでしょう。

アゲハチョウの幼虫は、上手く育てれば夏休みが終わる前の8月末までには成虫になり、美しい姿を見せてくれます。幼虫から蛹、成虫になるまでの飼育記録をイラストや写真を使ってまとめれば、すてきな自由研究になりますね。

春型は蛹で越冬し、3~5月ごろ羽化

夏の終わりに卵から孵化した幼虫は、秋の時期に幼虫期間を過ごすことになります。秋の幼虫の多くは、蛹のまま冬を越して次の春に羽化します。このように、蛹で越冬して春に羽化するアゲハチョウは「春型」と呼ばれます。秋はどんどん気温も低くなるうえ、栄養豊富で柔らかい葉が少ない時期なので、この時期に幼虫時代を過ごした春型のアゲハチョウは、夏型に比べてやや小さい体つきになることが多いといわれています。季節によって、アゲハチョウの成虫の大きさの違いにも注目してみるといいですね。

2.アゲハチョウの種類や特徴は?

特に身近な6種類のアゲハチョウ

日本には20種類ものアゲハチョウが生息しています。なかでも、特に身近な6種類を紹介しましょう。

主な種類の幼虫・成虫の姿や大きさ

【ナミアゲハ】

ナミアゲハ

翅を広げた大きさは6~9㎝。もっとも一般的な種類で、単に「アゲハ」または「アゲハチョウ」とも呼ばれます。この記事でもナミアゲハをメインに解説しています。

黒地に薄黄色の線や斑紋がついた翅の模様が特徴で、幼虫は柑橘類の葉を食べて育ちます。若い幼虫は体が白と黒のまだら模様をしていますが、これは鳥のフンに擬態して天敵に食べられないようにするためだとか。しかし終齢幼虫になると全身緑色になり、頭の近くに一対の目玉模様がついた姿へと劇的な変化を遂げます。この姿はヘビに擬態しているといわれており、天敵から身を守るのに一役買っています。

【キアゲハ】

ナミアゲハ

翅を広げた大きさは7~9㎝。ナミアゲハにとても良く似ていますが、ナミアゲハよりも黄色が濃く、また、前翅の根元近くの模様がナミアゲハは縞模様なのに対しキアゲハは模様がなく、黄色がかった黒色になっていることで判別できます。

成虫の姿はナミアゲハと似ていますが、幼虫はナミアゲハと明らかに異なる点がいくつかあります。キアゲハの幼虫はニンジンやパセリなどセリ科の植物の葉っぱを餌にしているので、ナミアゲハの幼虫とは生息環境が違います。また、体の模様についても、キアゲハの若い幼虫はナミアゲハ同様、鳥のフンに擬態した白黒模様ですが、4齢幼虫になると白地にオレンジ色の点が入った黒い縞模様の姿に、さらに次の終齢幼虫では黄緑色の地にオレンジ色の点が入った黒い縞模様の姿に変化し、ナミアゲハとの違いが一目瞭然となります。

【クロアゲハ】

クロアゲハ

翅の黒いアゲハチョウの一種。翅を広げた大きさは8~12㎝。メスは後翅に赤い斑点があります。オスは決まったルートを巡回して飛ぶ習性があり、この時のルートを「チョウ道(ちょうどう)」といいます。ナミアゲハよりもやや暗い場所を好み、木の多い公園でみられることが多いです。

幼虫は、白黒の若い幼虫・終齢幼虫ともにナミアゲハと似ているうえ、食草も同じ柑橘類なので紛らわしいですが、以下のポイントで見分けることができます。

  • 若い幼虫(白と黒の体色)の時期は、体のつやで見分けることができる。クロアゲハでは体につやがあるのに対し、ナミアゲハではつやがない。
  • 終齢幼虫では、体のラインの色である程度見分けることができる。クロアゲハは体に茶色と白の斑模様のラインが入るのに対し、ナミアゲハは細い白のラインと太い黒や濃いラインの上に黄色い点が少し入る程度で、クロアゲハの幼虫ほど入り組んだ模様にならない。
  • 驚いた時に出る臭い角(臭角)でも見分けられる。クロアゲハの臭角は赤く、ナミアゲハは臭角が黄色。この違いは両者を見分けるもっとも確実な方法ではあるが、臭角を見るには幼虫を驚かす必要があり、幼虫に若干ストレスをかけてしまうので注意を!

【カラスアゲハ】

カラスアゲハ

翅を広げた大きさは8~12㎝。クロアゲハ同様翅が黒く、青や緑色のラメを散らしたような美しい輝きがあるのが特徴。オスの前翅表側には、ビロード状のフワフワした毛が生えている部分があり、オスメスの見分けもここでつきます。自然が豊かな環境を好み、オスは水を飲むために森の中の水辺によく集まります。

幼虫は、柑橘類の葉っぱも食べますが、野生ではカラスザンショウ、サンショウ、キハダ、コクサギなどの葉っぱにも見られます。幼虫の姿はナミアゲハやクロアゲハの幼虫に似ていますが、幼虫の背中にある目玉模様をつなぐように帯状の模様がないのはカラスアゲハです。

【アオスジアゲハ】

アオスジアゲハ

黒地に水色の帯状の模様が入った翅が特徴的な種類。翅を広げた大きさは5~6㎝。街路樹でよくあるクスノキを食草としているので、都内ではよく見ることができます。高い場所を素早く飛び回る習性があるので飛んでいる姿を観察するのは難しいですが、オスはよく水を飲みに地上におりてくるので、その時が観察の狙い目。

幼虫は生まれたばかりの時は黒色で細かいトゲでおおわれていますが、毒はなく、指には刺さらないのでご安心を。成長とともに変化し、最終的に黄色いラインが入った黄緑色の全身に、小さな6本の濃い青色のトゲがある姿となります。

【ジャコウアゲハ】

ジャコウアゲハ

オスは黒、メスは黄色みがかった灰色の翅をもつ種類。翅を広げた大きさは7~10㎝。クロアゲハによく似ていますが、胴体を見ると、クロアゲハでは黒一色なのに対してジャコウアゲハは赤や黄色の模様が入っていることで見分けがつきます。

幼虫の食草は河原に生えるウマノスズクサや、林に生えるオオバノウマノスズクサ。幼虫の色は白と黒で、太い突起におおわれています。上記で紹介した他の種類とは違い、幼虫時代は成長しても色が大きく変わることはありません
蛹は薄いオレンジ色で凸凹の多い個性的な見た目をしています。昔の人はこの蛹の姿を、怪談「皿屋敷」の登場人物・お菊の姿に重ねてジャコウアゲハの幼虫を「お菊虫」とよんでいました。

幼虫は模様だけでなく、臭いツノで外敵を威嚇

幼虫は模様だけでなく、臭いツノで外敵を威嚇

先述のように、アゲハチョウの幼虫はとても特徴的な模様があり、それは外敵から身を守るための擬態です。

しかし、厳しい自然界では、擬態だけでは身を守るのが難しいことも多々あります。そこで、アゲハチョウの幼虫はさらに身を守るための「奥の手」を隠しています。それは、「臭角(しゅうかく)」という2本の臭いツノ。敵に襲われるとこの臭角を出し、臭いで敵を追い払うのです。この臭角は、普段体の中にしまってあるので見ることはできませんが、幼虫を綿棒などで触って刺激するなどして驚かすと臭角を出してくれることがあります(※あまり刺激しすぎると幼虫が弱ってしまうので、臭角を出しても出さなくても、幼虫を触るのは数回だけにしましょう)

眼みたいな模様(眼状紋)はなぜある?

眼みたいな模様(眼状紋)はなぜある?

アゲハチョウは終齢幼虫になると、体が緑色になり、頭の近くには目玉のような模様があらわれます。これは本物の目ではなく、あくまでも模様。本物の目は幼虫の小さな顔についていますが、とても小さく、視力も明るさが分かる程度だといわれています。
この目玉模様は「眼状紋(がんじょうもん)」といい、アゲハチョウの幼虫は、眼状紋と緑色の体でヘビに擬態しているといわれています。この擬態は、幼虫を狙う天敵である鳥から身を守るため。ただのオシャレではなく、厳しい自然界で生き抜くために必要なものなのですね!

成虫のオスとメスの見分け方

成虫のオスとメスの見分け方

アゲハチョウの成虫のオスとメスは、腹部を観察することで見分けることができます。オスの腹部は細身で先が尖り、先端を裏から見ると縦に大きく切れ込みがあるのに対して、メスの腹部は丸みを帯びて先の部分には段差があり、先端を裏から見た時の切れ込みもオスより小さめです。

3. アゲハチョウの幼虫の採集と育て方

アゲハチョウの幼虫の採集と育て方

幼虫が食べる葉っぱは?捕まえ方は?

アゲハチョウの幼虫は、ユズやミカンなどの柑橘類の葉っぱを食べます。よって、幼虫を探す時は、そのような柑橘類の木の枝を丁寧に観察するところから始めます。葉っぱにかじられた跡があったり、葉っぱがなくなって枝だけになったりしている場所を見つけたら、近くに幼虫がいる証拠! 近くを探せばすぐに幼虫を見つけられるはずです。
幼虫の捕まえ方は、できるだけ幼虫がとまっている葉っぱや枝ごと採集するのがオススメ。
幼虫はとてもデリケートなので、指でつまむと弱ってしまうこともあります。

飼育に必要なものと餌(食べる葉っぱ)は?

アゲハチョウの幼虫の飼育に必要なものは、通気性のいい虫ケース。そして、餌となる柑橘類の葉っぱです。アゲハチョウの幼虫は、基本的に柑橘類の葉っぱしか食べません。そのうえ、柑橘類の種類が変わると新しい餌に慣れるまで時間がかかる場合もあるので、なるべくもともと幼虫がいた柑橘類の木の葉っぱ、もしくは、同じ種類の柑橘類の葉っぱを与えるようにしましょう。

幼虫に葉っぱを与える時は、木から葉っぱが数枚ついた枝をハサミで切り、切り口に湿らせたキッチンペーパーを巻きます。さらに、その上からアルミホイルでキッチンペーパーを覆って、飼育ケースに入れてあげる方法がオススメです。こうすることで、葉っぱがしおれず長持ちしますし、餌の交換も楽になります。先述したように、幼虫はとてもデリケート。直接さわると弱ってしまうことがあります。餌交換の時は、幼虫がとまっている古い餌のすぐ近くに新しい餌を置き、幼虫が新しい餌に移動したら古い餌を取り除くようにしましょう。

幼虫を飼育する上での一番のポイントは、とにかく餌を切らさないこと!葉っぱがしおれたりなくなりそうになったら、すぐに新しい葉っぱに交換してあげてください。また、幼虫はたくさん食べて、たくさんフンをします。ですので、定期的に容器の掃除をしてあげましょう。容器の底にキッチンペーパーなどを敷いておくと掃除が楽になります。

室温などのポイント

最近ではメッシュ素材でできた昆虫飼育用のコンパクトな温室などが、ネットで手軽に購入できます。温室を使ってもプラスチックの虫ケースで育てても、餌の量が十分であれば幼虫の生育には問題がありません
小さくて背の低い柑橘類の鉢植えを用意できる場合は、餌交換の手間が大きく減ってオススメではありますが、フンの掃除はしっかり行いましょう。

4.蛹が羽化して成虫になるまで観察しよう

蛹が羽化して成虫になるまで

蛹になる時の変化など

十分に成長し、蛹になる準備が整った終齢幼虫は、蛹になる前に、体内の余分なものを水分とともに外に出すため、水っぽいフンをするようになります。「下痢をしているのかな?大丈夫かな?」と心配になるかもしれませんが、順調に育っている証拠なのでご心配なく!
この時期の蛹になる準備が整った幼虫は、光にかざすと透けて見えるようになります。これは、体の中のいらないものが全て外に出た、蛹になる直前の幼虫にだけ見られるものなので、興味がある方は幼虫の後ろから懐中電灯などで光を当てて観察してみてください。

水っぽいフンをした後の幼虫は、餌を食べなくなり蛹になるための足場を探して動き回ります。大概はケースの天井や、餌として入れておいた柑橘類の枝の上に落ち着きますが、この時、容器の蓋が空いていると脱走してしまうこともあるので注意しましょう。

蛹になる場所を決めた幼虫は、自分の体に糸をかけて体を固定し動かなくなります。ここまで来たら、なるべく振動を与えず、そっと見守りましょう。1~2日程度で蛹になります
アゲハチョウの蛹には、緑色のものと茶色のものがあります。蛹の色は、蛹になる時の足場の質感で色が決まるといわれていて、足場がツルツルだと緑色に、ザラザラだと茶色になります。これは、自然界ではツルツルの枝は若くて緑色のものが多く、ザラザラの枝は枯れて茶色くなっていることが多いため、少しでも周りの環境に溶け込む色になって敵に見つからないようにするための工夫だと言われています。生き残るための工夫が、こんな所にも隠されているんですね。

羽化する時間帯、羽化にかかる時間は?

羽化直前のナミアゲハ

羽化直前のナミアゲハ

温かい時期であれば、アゲハチョウの蛹は10日~2週間ほどで羽化します。羽化が近づくと、蛹の殻から中の成虫の姿が見えるようになります。羽化は早朝~昼までに行われることがほとんどです。蛹の殻を破って外の世界に出てきたばかりの成虫の翅は小さくしわくちゃですが、次第に広がっていき私達がよく見るアゲハチョウの姿になっていきます。蛹の殻が割れて、成虫が頭をのぞかせてから殻を脱ぎ捨てるまでの時間は10分もかかりませんが、そこから翅が伸びきるまで1時間前後かかるので静かに見守りましょう

羽化がはじまったら?

羽化中のナミアゲハ

羽化中のナミアゲハ

羽化している最中のアゲハチョウは体がとても柔らかいので、少しの刺激で脱皮に失敗して死んでしまったり飛べなくなってしまったりしてしまいます。羽化が始まったら、絶対に触ったり振動を与えたりしないようにしましょう

羽化不全やヤドリバエなど気になることは?

どんなに大事に育てていても、100%全てのアゲハチョウが無事に大人になれる訳ではありません。無事に大人になれない例として、羽化途中での落下や、体力が尽きてしまうことが原因で上手く羽化できない「羽化不全」というものがあります。羽化不全になると死んでしまったり、生きていても翅がゆがんで飛ぶことができず、自然界で生き行くのが難しくなります。もし羽化不全になってしまったら、ペットボトルのキャップに砂糖水やスポーツドリンクを含ませたキッチンペーパーを餌として入れてお世話してあげましょう

そのほか、アゲハチョウの蛹が上手く羽化できず死んでしまう原因として、ヤドリバエ(寄生蝿)やヤドリバチ(寄生蜂)による被害があります。寄生バエや寄生蜂は、大きくなったアゲハチョウの幼虫の体に卵を産み付け体内で成長し、アゲハチョウが蛹になったタイミングでアゲハチョウの蛹の殻を突き破って出てくるという恐ろしい生態があります。一度寄生されてしまうと取り除くのは非常に難しいので、野外から幼虫を採集してくる時に、寄生されている可能性の低い、まだ小さい幼虫を採集して育てることで、ある程度被害を防ぐことができます。

成虫の食べ物や放つ時期

アゲハチョウ

アゲハチョウが無事に羽化して成虫になったら、外に逃がしてあげましょう。チョウを外に放す時に注意しないといけないポイントがいくつかあります。

  • タイミング
    翅が伸びきってすぐは、まだ体が硬くなっていない場合があります。アゲハチョウの成虫が容器の中で動き回るようになってから外に放すようにしましょう。
  • 放つ場所
    チョウを放す場所は、必ず幼虫を採集してきた場所にするようにしてください。違う場所に放すと、アゲハチョウにとって生きやすい環境が整っていなかったり、もともとその地域に住んでいた別の種類のチョウとの不要な生息地争いが起きてしまう場合があります。大切に育ててきたアゲハチョウのためにも、これは必ず守ってください
  • 放しかた
    チョウをケースから逃がす時、無理やりさわると翅が破れたり弱ったりしてしまうので、チョウにはなるべく触らず、ケースの蓋を開け、自分で飛び立ってゆくのを待ってあげましょう

成虫のアゲハチョウの食べ物は花の蜜です。ストローのような口で花から花へ、ひらひらと飛び回りながら蜜を吸う愛らしい姿を、ぜひ外で探してみましょう。アゲハチョウはいろいろな種類の花にやってきますが、特にツツジやアザミ、ヒガンバナなどの赤い花を好んで訪れるようです。

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