これからクワガタ採集が楽しみになる季節。クワガタ採集ができたら、交尾・繁殖→幼虫飼育にもチャレンジしてみたいキッズも多いのでは?! 幼虫飼育はどんな様子なのでしょうか? コクワガタは昆虫マット、ヒラタクワガタは菌糸瓶を使った幼虫飼育レポートをお届けします!クワガタ幼虫飼育の手順や必要な道具など、ぜひ参考にしてみてください。昆虫芸人の堀川ランプさんによるアドバイスつきです。
堀川ランプさんのカブトムシ・クワガタ記事
» カブトムシ・クワガタ採集ガイド
» カブトムシ幼虫の育て方ガイド
» 冬のクワガタ幼虫採集
昆虫好きにおすすめのスポット記事
北海道・東北 / 関東 / 東海 / 関西 / 九州
» カブトムシ・クワガタがおすすめの昆虫館・体験施設
- 1.クワガタの幼虫飼育
- └幼虫飼育に必要な道具は?
- └基本的な飼育はエサ(マット)交換
- └令数って知ってる?
- └飼育温度
- └寿命はどれくらい?
- └クワガタは越冬する?
- 2.コクワガタの幼虫飼育:昆虫マット
- └幼虫採集の直後(2021年1月)
- └マット交換(2021年4月下旬)
- └さなぎに!(2021年5月下旬)
- 3.ヒラタクワガタの幼虫飼育:菌糸瓶
- └産卵セットをくむ(2020年9月)
- └割り出し→孵化!(2020年10月中旬)
- └菌糸瓶に幼虫を投入
- └菌糸瓶からマットへ!(2020年12月下旬)
- └3回目のマット交換(2021年3月下旬)
- └ついに蛹化(2021年4月下旬)
- └羽化!成虫になりました(2021年5月末日)
- 昆虫好きにおすすめの記事
(監修プロフィール)堀川ランプ
昆虫大好き芸人。変形菌にも詳しい。日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程修了。理系の研究発表を模した白衣スタイルでおこなうフリップ芸が人気。Youtubeで「堀川ランプの昆虫列伝」を配信中。日本変形菌研究会会員。成虫の会メンバー。
» 堀川ランプtwitter
» 堀川ランプの昆虫列伝youtube
※当サイトの内容、テキスト、画像等の無断転載・無断使用を固く禁じます。
1.クワガタの幼虫の育て方
幼虫飼育に必要な道具は?
クワガタの幼虫飼育は、「容器」と「昆虫マット(幼虫用)」があればできます。昆虫マットは、100円ショップやネットショップなどで簡単に入手可能です。
また、幼虫を大きく育てるために、「菌糸瓶(きんしびん)」というキノコをマットに植えつけて栄養価を高めたものを使う場合があります。ヒラタクワガタやオオクワガタの飼育では、菌糸瓶を使うことがよくあります。菌糸瓶は昆虫ショップやホームセンター、ネットショップで1000円前後で購入できます。また、上の写真で使っているスプーンは、「菌糸瓶の幼虫入替スプーン」として昆虫ショップやネット通販で売られていて、あると便利です。パフェ用などの柄の長いスプーンで代用してもOK。
今回は、コクワガタは昆虫マット、ヒラタクワガタは菌糸瓶を使った幼虫飼育の様子をご紹介します!
基本的な飼育は、エサ(マット)交換
クワガタの幼虫飼育でやることは、エサの交換です。昆虫マット、菌糸瓶ともに、3ヶ月前後が目安です。菌糸瓶はエサが減ってくると見た目にわかるので、のちほど写真で紹介します。
令数って知ってる?
豆知識として、クワガタの幼虫は、カブトムシと同様に成長が3段階あり、「初令(しょれい)→2令(にれい)→3令(さんれい)」と呼ぶことを覚えておくといいでしょう。昆虫飼育の本や図鑑ではよく出てくる言葉です。
とはいえ、令数の見極めはとても難しく、体全体のサイズや頭の大きさで見当をつけるしかありません。実際に飼育をして成長観察をしてみると、変化を感じることができますよ。
飼育温度
クワガタの幼虫は暑すぎるのも寒すぎるのも苦手。冬はなるべく10℃を下回らない、夏は25℃より暑くならないように容器を置く場所を工夫しましょう。
寿命はどれくらい?
クワガタの成虫の寿命は種類によってまちまち。オオクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタは成虫になってからも越冬を繰り返しながら2~3年、時には5年も生きることがある長生きな種類です。
その一方、ノコギリクワガタやミヤマクワガタは、夏に活動し始めてから3ヶ月程度しか生きることができません。ひと夏の命なのです。
クワガタは越冬する?
オオクワガタ、ヒラタクワガタ、コクワガタなどの種類は、気温が低くなってくると土や朽ち木の中にもぐって越冬し、次の年の初夏ごろから再び活動を始めます。個体によってはこれを数回繰り返して数年間生き続けます。
ノコギリクワガタやミヤマクワガタは、その年の夏のはじめまでに羽化した個体はそのまま活動を開始します。夏の終わりごろから秋にかけて羽化した個体は、活動せずそのまま冬を越して翌年の夏に活動を開始することが多く、個体によって越冬するものとしないものがいます。
2.コクワガタの幼虫飼育:昆虫マット
幼虫採集した直後(2021年1月初旬)
1月下旬に、近所の雑木林で採集したコクワガタの幼虫。
プラスチック容器にいれ、採集場所の腐葉土と一緒に持ち帰りました。おそらく2令と思われます。
ケースに一頭ずつうつし、腐葉土に市販のクワガタ用の幼虫マットを加えました。
マット交換(2021年4月下旬)
3ヶ月ぐらいたつと、エサがなくなったり、幼虫のフンで汚れてくるので、新しい昆虫マットに入れ替えます。頭がかなり大きくなっていたので、おそらく3令。
さなぎに!(2021年5月下旬)
蛹室(ようしつ)をつくり、さなぎになった姿が!ここから1ヶ月後の6月下旬頃に羽化し、成虫になりそうです。
【教えて!ランプさん】
●蛹室がみえたら、マット交換はストップ!
蛹になる準備ができた幼虫は、「蛹室」という空間を作り、その中でじっと動かなくなります。幼虫が蛹室を作り始めたらマット交換はやめて、刺激しないようそっとしておきましょう。蛹室は容器の壁面に作られることが多く、観察しやすいです。成虫になる様子を静かに観察してみてください。
3.ヒラタクワガタの幼虫採集:菌糸瓶
産卵セットをくむ(2020年9月)
つがいで購入したヒラタクワガタを交尾させたあと、メスの産卵セットをくみました。メスは産卵で体力をつかい、栄養補給のために幼虫を食べてしまうことがあるので、9月末にメスを別に場所にうつしました。出産は命がけなのですね。
割り出し→孵化してました!(2020年10月中旬)
1ヶ月半後、産卵マットの中を確認する「割り出し」という作業。ワクワクする瞬間です。割り出しは、大きなタライやプラスチックケースに、中身をすべて出します。そーっとそーっと。
孵化していました!かわいい幼虫がたくさん!
菌糸瓶に幼虫を投入
おそらく2令になっていたので、菌糸瓶に一頭ずつ入れました。白い部分が菌糸で、これが幼虫のエサになります。
【教えて!ランプさん】
●菌糸瓶にうつす目安は?
菌糸瓶とは、粉砕した木にヒラタケなどのキノコの菌糸を植え付けたもので、クワガタの幼虫を大きく育てたい場合によく使われます。菌糸は栄養価がとても高いのですが、菌糸自体も生き物であるため、小さい幼虫は菌糸に負けてしまう可能性があります。菌糸瓶に幼虫を入れるタイミングは、ヒラタクワガタなら2令以上、500円玉ぐらいの大きさを目安にするとよいでしょう。
菌糸瓶からマットへ!(2020年12月下旬)
菌糸が減って、茶色の部分が増えてきます。このぐらいになると交換時期です。
大きくなった幼虫がいました! 幼虫を傷つけないように、そおっと取り出します。
体重は16.81g。大きいのでたぶんオスかな?市販のキッチンスケールを、幼虫観察専用で使っています。
菌糸瓶で十分に大きくなったので、今度は栄養過多になりすぎないよう、再び昆虫マットへ。上に置くと、自分でもぐっていきます。
【教えて!ランプさん】
●菌糸瓶は、茶色で埋め尽くされないように!
菌糸瓶の交換は、茶色い部分が全体の2/3程度になったら行いましょう。まだ食べられる白い部分があるともったいない気もしますが、茶色い部分は幼虫の糞なので、雑菌が繁殖して幼虫が病気になる前に移し替えるのが上手な飼育のポイントです。
●幼虫を傷つけないように!
幼虫を掘り出す時は、焦らずに、幼虫自体にはなるべく触れずに、周りのマットを少しずつスプーンで削りながら掘ってあげるのが、傷つけずに幼虫を取り出すコツです。写真にあるような菌糸瓶の幼虫入替用のスプーンを使うのがおすすめです。柄の長いスプーンなどで代用した場合は、その後は必ず昆虫専用にしましょう。また、幼虫に素手で触れないよう、手袋をするのはおすすめです。
3回目のマット交換(2021年3月下旬)
前回の交換から3ヶ月。幼虫の色が黄色くなっていました!そろそろ蛹になる合図です!
新しい昆虫マットへ。顔を見せてくれてます。
ついに蛹化(2021年4月下旬)
前屈のような格好をして、上にツノが少し見えています!
羽化!成虫になりました(2021年5月末日)
蛹から1ヶ月、いよいよ成虫の姿に会える瞬間です。ドキドキしながらそっとマットをかきわけると……黒く光る背中が!!
メスです。よく動き回って元気です!
身長は41.1ミリ。これはデジタルノギスというスライド式の測定器で、特に昆虫用というわけではありません。ネットショップなどで売っています。
数ヶ月をとおして、幼虫から蛹、成虫へと劇的に変化する姿を観察し、子どもは「すごい!嬉しい!」と感激もひとしお。親子ともども、とてもいい経験になりました。
【教えて!ランプさん】
●羽化したあとのポイントは?
蛹から1ヶ月たつと羽化する時期です。成虫になってすぐはあまり動き回らず、エサも食べません。これは体が成虫になっていても体の中はまだ完全に成熟しきっていないためです。体の中がちゃんと成熟するまでは、ほんの少しのエサだけを入れておいてあげて、食べ始めるまで楽しみに待っていてください。
新しい昆虫マットに交換し、エサの昆虫ゼリーを入れ、今度は成虫観察を続けます。
コクワガタの方も、まもなく羽化したら写真を更新しますので、お楽しみに!
昆虫好きにおすすめの記事
堀川ランプさんのカブトムシ・クワガタ記事
» カブトムシ・クワガタの捕まえ方のポイント!場所・時間帯・仕掛けレシピ・飼育まで
» カブトムシ幼虫の上手な育て方ガイド!水や温度・オスメス見分け方・マット交換の時期
» クワガタ幼虫採集レポート!見つけ方・育て方は?冬眠中のコクワガタ成虫もいた!
<虫が苦手…というママパパにはこちら!>
『るるぶKids こわくない!カブトムシ・クワガタの採集と飼育』
子どもが昆虫採集や飼育をしたがっても、親である自分は虫がこわくて触れない…。そんなママパパたちのリアルな虫問題を解決する1冊!「親パート」「子どもパート」に分かれた前代未聞の二部構成+「3大特別付録 自由研究セット」つきで、親子の楽しい採集・飼育体験を徹底サポートします!
書名 | 『るるぶKids こわくない!カブトムシ・クワガタの採集と飼育』 |
---|---|
定価 | 1650円(10%税込) |
判型 | AB判、本誌96ページ(ソフトカバー)、別冊付録32ページ(いずれもオールカラー) |
発売日 | 2023年6月23日(金) |
発行 | JTBパブリッシング |
堀川ランプさんの昆虫採集・観察の記事
» 近場で昆虫観察!虫の探し方
» 秋の昆虫採集!スズムシ&コオロギ
» 冬の昆虫観察!テントウムシなど
» カマキリの卵と孵化に感動
» スーパー昆虫!オケラ
» ダンゴムシ徹底解説
» セミの羽化を観察
» ミノムシの驚きの生態
昆虫好きにおすすめのスポット記事
北海道・東北 / 関東 / 東海 / 関西 / 九州
» カブトムシ・クワガタがおすすめの昆虫館・体験施設